ビットコインの基本

ビットコインの取引所と販売所

ビットコインの取引所と販売所

日本円のような法定通貨でビットコインを購入する、あるいはビットコインを売却して法定通貨へ換える場合には、暗号資産(仮想通貨)の取引所または販売所と呼ばれるサービスを利用することが一般的です。

取引所と販売所は、どちらもビットコインの売買ができるサービスですが、その仕組みは大きく異なります。本記事では、取引所と販売所それぞれの仕組み、そしてユーザーがどちらを使うべきかを解説します。

なお、本記事では取引所と販売所を異なるサービスとして説明していますが、これはユーザーによる売買方法の違いであり、運営する事業者の違いではありません。多くの事業者は、両方のサービスを提供しています。

取引所の仕組み

取引所では、登録しているユーザー同士がサービスを介して売買を行います。つまり、取引所がビットコインの売り手・買い手になることはなく、取引を円滑に進める「仲介役」を担うことになります。

取引所を利用するユーザーは、希望する数量・価格を提示して買注文または売注文を出します。条件が合致する買注文と売注文の組み合わせがあれば、それらの注文は約定(売買が成立すること)し、その結果が残高に反映されます。

取引所を運営する事業者は、売買を行ったユーザーから手数料を取ります。一般的に手数料は売買金額の0.01%〜0.2%程度ですが、顧客サービスとして手数料を無料にしている取引所もあります。

この仕組みは、株式を売買する証券取引所と類似しています。株式の場合、ユーザーは証券取引所を直接利用することはできず、証券会社を通じて間接的に利用します。それに対してビットコインは、ユーザーが取引所を直接利用するようになっています。

取引所はユーザー同士が売買を行うサービスであるため、他のユーザーがいくらでどれだけ買いたい・売りたいと思っているのかを把握するする必要があります。このために使われるのがです。

板とは、その取引所の全ユーザーが出している注文を価格ごとにまとめて表示したものです。実際に取引所で注文を出す際は、板を確認しながら行うことになります。板の状態は、誰かが注文を出す(既存の注文を変更・取消した場合を含みます)ごとに変化します。

取引所における板の例を以下に示します。

売数量 (BTC) 価格 買数量 (BTC)
0.020 6,003,000
0.005 6,002,000
0.010 6,001,000
0.015 6,000,000
5,999,000 0.020
5,998,000 0.005
5,998,000 0.010
5,997,000 0.015

左の「売数量」列に載っている数量はビットコインを売りたい人が出している売注文を示し、右の「買数量」列は買いたい人が出している買注文を意味します。「価格」列は、売数量・買数量に対応する単価(1BTCあたりの日本円)です。

例えば、上記の板で最も安く売られているビットコインは6,000,000円で、この価格で売ってもらえるのは最大0.015BTCであることが分かります。また、最も高い購入希望は5,999,000円で、この価格で買い取ってもらえるのは最大0.020BTCです。

板の表示方法は取引所によって異なりますが、①売・買の種別(色分けされている)、②1BTCあたりの価格、③価格ごとの注文量、という3つの要素で構成されることは共通です。

注文方法

取引所の注文の方法には、主に成行指値の2つがあります。なお、取引所によっては逆指値など他の注文方法がある場合や、同じ指値でも複数の方法がある場合もありますが、本記事ではこれらの解説は割愛します。

成行

成行は、現在の最良価格で取引を行う方法です。成行の買注文は、板に並んでいる売注文の中で最も安いものから順番に購入します。成行の売注文は、板に並んでいる買注文の中で最も高いものから順番に売却を行います。

例えば、上記の板で0.02BTCの買注文を成行で出した場合、0.015BTC分は6,000,000円で、0.005BTC分は6,001,000円で購入することになります(価格は1BTCあたり)。

指値

指値は、「○○円以下なら買う」「○○円以上なら売る」というように、価格を指定して取引を行う方法です。指定した価格の範囲内で取引できる一方、注文が必ず約定するとは限りません。

指値の買注文では、指値以下で板に並んでいる売注文がある場合、それらを安い順に購入します。それでも注文量すべてを購入できない場合、指値価格での買注文を板に並べ、他のユーザーが合致する売注文を出すのを待ちます。

指値の売注文では、指値以上で板に並んでいる買注文がある場合、それらへ高い順に売却します。それでも注文量すべてを売却できない場合、指値価格での売注文を板に並べ、他のユーザーが合致する買注文を出すのを待ちます。

例えば、上記の板で0.02BTCの買注文を指値・価格6,000,000円で出した場合、0.015BTC分は6,000,000円で購入します。残りの0.005BTCは、指値価格での買注文として板に残り(「5,999,000円 0.020BTC」の上に表示される)、他のユーザーが合致する売注文を出すまで待ちます。

販売所の仕組み

取引所がユーザー同士で売買を行うのに対して、販売所はユーザーと事業者の間で取引を行う形になっています。具体的には、事業者が買値(ユーザーが購入できる価格)と売値(ユーザーが売却できる価格)を提示し、ユーザー側がその価格に納得すれば注文・約定する仕組みです。

提示される価格は、国内外の取引所の価格などを参考に決められ、数秒おきに更新されます。また、取引所のような板は存在せず、注文方法は基本的に成行のみです(ただし、販売所でも指値ができる事業者もあります)。

販売所における画面の例を以下に示します。

ビットコイン販売所

売却価格(円)
5,850,000
販売価格(円)
6,150,000

買値と売値の間には価格差が設定されています。つまり、ユーザーが購入するときは割高で買うことになり、逆に売却するときは割安で売ることになります。このように2つの価格があることを2Wayプライスと呼びます。

また、買値と売値の価格差をスプレッドと呼び、実質的な売買手数料に相当します。スプレッドが手数料の役目を果たすため、これ以外に手数料は発生しないのが一般的です。

実際のスプレッドの額は取引所によって異なりますが、ビットコイン価格の2%〜5%程度に設定されていることが一般的です。また、スプレッドは常に一定ではなく、価格が急激に変動した時などは拡大することもあります。

取引所と販売所のどちらを使うべきか

販売所は取引所と比較して単純明快であり、初心者にとっても使いやすい仕組みとなっています。しかし、当サイトは取引所を利用することを推奨します。その理由は、販売所の手数料が高額であるためです。

前述のように販売所にはスプレッドがあり、多くの事業者は2%〜5%程度に設定しています。これは取引所の手数料(0%〜0.2%程度)と比べると著しく割高です。

ビットコインを購入・売却できるという点では、取引所と販売所に違いはありません。販売所の使い方が簡単であるとしても、そのために数十倍の手数料を支払う価値はないでしょう。

株式取引の経験がある人にとっては、ビットコインの取引所も同じように使うことができます。そうでない人でも、成行注文であれば販売所と使い勝手は大きく変わらないはずです。

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